自然と建築とお菓子が溶け合う
皆さん、こんにちは。マツザワです。今回は、滋賀県近江八幡にあるたねやグループの「ラ コリーナ近江八幡」公式サイトを訪れました。お菓子屋さんの域を越えた“自然と共生する体験空間”を、どうウェブで表現しているのか。その世界観づくりを、じっくり観察していきたいと思います。
まるで「風景を編む」ようなデザイン
サイトを開いた瞬間、広がるのは一面のグリーンと柔らかなアースカラー。自然そのものを画面に閉じ込めたような第一印象です。ファーストビューの大きな写真は、草屋根の建築を印象的に見せながらも、決して押しつけがましくない。余白を生かした構成が“静けさの美”を伝えています。
色彩設計
全体のトーンは、グリーン・ベージュ・ブラウンを中心としたナチュラルカラー。木・土・草の素材感をそのまま色にしたような統一感があります。白や黒の強いコントラストは避け、自然光のグラデーションを思わせる柔らかな色使い。写真とのなじみも良く、サイト全体が一枚の風景画のように感じられます。
UI / UX
ナビゲーションは上部に最小限のメニュー。情報の数は決して多くないのに、「行ってみたい」と思わせる体験設計が見事です。スクロールするたびに現れる写真やテキストが、まるで小道を歩くようなリズムで配置されており、ページ遷移そのものが“散歩”に近い感覚を生み出しています。
また、ホバー時のアニメーションやページ切り替えも控えめで、情報よりも「空気感」を優先。ユーザーを急がせず、ゆっくりと世界観に浸らせる導線になっています。

サイト構成
構成は「施設案内」「たねや・クラブハリエの紹介」「アクセス情報」を軸に、とてもシンプル。複数のページに分かれていますが、各ページの構成やトーンが統一されており、どこにいても“ラ コリーナらしさ”が途切れません。
トップページは写真が主役で、テキストはあくまで補助。訪問者が「読む」というより「感じる」ことを前提に設計されているように思います。
サイトの内容
公式サイトとしては珍しく、「商品情報よりも理念を伝える」ことに重きを置いています。自然と建築、食と人をつなぐ「場」としてのラ コリーナの存在意義が、写真やコピー、構成のすべてににじんでいます。
「お菓子を買う場所」というより、「自然の循環を感じに行く場所」としてのブランディング。これは、近年の観光型ブランディングサイトの中でも非常に完成度が高いです。

五感で感じるブランドサイトの完成形
ラ コリーナ近江八幡の公式サイトは、視覚的な美しさだけでなく、体験のリズムそのものをデザインしています。自然の中を歩くようにページを進める心地よさ。テキストではなく空気で語るような構成。
「商品」ではなく「理念」を伝えるブランディングの好例として、Web制作を学ぶ人にとっても非常に参考になる一例です。
静けさの中にある強さ。そんなデザインの力を、改めて感じさせてくれるサイトでした。
