「卵の黄身」が社会とつながる
こんにちは、マツザワです。早稲田大学・下川研究室のサイトをのぞいてみました。トップページで出迎えてくれるのは、真ん中にぽっと浮かぶ黄色い“黄身”のようなビジュアル。やさしいベージュ背景の上で、ふわっと街の写真に切り替わり、「食を通して社会を読み解く」というコピーと呼応する演出になっています。
食という身近なテーマから世界の社会問題へと広がる研究内容を、こんなに直感的に見せてくれるサイト、ちょっと新鮮です。
やわらかい背景とシェイプで心理的ハードルを下げる
全体の背景は明るいベージュ。角のない曲線のシェイプがページ全体に配置され、研究室サイト特有の“固さ”をやさしく中和しています。どこをクリックしても拒絶感がない、そんな安心感があります。
ロゴとキービジュアルの一体感
研究室のロゴも印象的です。複数の丸がつながったモチーフで、食や社会のつながりを記号化したデザイン。聞けば「下川」の文字を抽象化しているそうで、コンセプトとデザインがきれいに重なっています。サイト全体のアイコンやキービジュアルともトーンが揃っていて、統一感が気持ちいいですね。
「こんな研究をしています」──物語で見せる研究テーマ
トップに並ぶカード型のコンテンツが面白いです。「日本の小麦価格とアフリカの暴動がつながっている?」「中国の豚肉ブームで熱帯雨林が破壊される?」といった問いかけ型の見出しが並び、ついクリックしてしまいます。
イラストもやわらかいタッチで、難しい研究テーマがぐっと身近に感じられる工夫。カードごとに背景のシェイプや番号があしらわれ、読み物としてのリズムも心地よいです。

研究概要ページは「大きな声ではなく、深い声」
Researchページでは、農業経済学を軸に、食と貧困、健康、環境、エネルギーなどの問題を実証的に解き明かす姿勢が丁寧に語られています。文字量はしっかりあるのですが、行間や背景色が工夫されていて、スマホでも窮屈さを感じません。
ニュースとブログで「いまの研究」を見せる
トップページにはNewsとBlogの両方が並び、研究室からのお知らせと日々の研究メモが整理されています。学会参加レポートや研究論文の紹介もあり、ラボの“今”を追える仕組み。大学の研究室サイトというより、ちょっとしたメディアを読んでいる感覚です。

まとめ:学術サイトを“やさしく”するデザイン
下川研究室のサイトは、アカデミックな内容を押し付けず、読む人の視線と心を自然に誘導してくれるデザインでした。卵の黄身のようなメインビジュアル、やさしい色と形、問いかけるコピー、ストーリー性のある研究紹介。どれも「まずは覗いてみて」と誘うような仕掛けです。
研究室を初めて訪れる人、これから農業経済学を学ぼうとしている学生、共同研究を検討している研究者。どの立場から見ても「入りやすい」入り口が用意されている、そんな温度感のあるサイトでした。