No.022 十津川村海峡 瀞

静けさに包まれる、水と緑の奥地へ

 

皆さんこんにちは、マツザワです。
今日は、奈良県・十津川村の奥深くにある海峡「瀞(どろ)」エリアの観光公式サイトを訪ねてみました。

このサイト、最初に開いた瞬間から空気が違います。自然と背筋が伸びて、呼吸が深くなるような……そんな静けさに満ちた空間。
今回は、その上質な世界観をウェブデザインの観点からじっくりと紐解いてみたいと思います。


色を抑えて、情緒を引き立てる

まず何より印象的なのが、色彩の使い方。
全体的にトーンを落としたモノトーンベースの配色で、メインカラーはグレイッシュな墨色や、うっすらと緑が混ざった深みのある色味。彩度を抑えたその世界観が、まるで一幅の日本画を思わせる静謐な雰囲気を作り出しています。

No.022 十津川村海峡 瀞 歩道橋よりコルビュジェ


「闇を抜けて、光に出る」――印象的なスクロール体験

No.022 十津川村海峡 瀞 歩道橋よりコルビュジェ

そして個人的に特筆したいのが、スクロールによる色の変化演出です。
ページ冒頭では、深く沈むような暗いトーンの世界が広がっており、しばらくその静寂に包まれながら下へと読み進めていくと――ふと、一瞬で視界が開けます。

背景が明るい白系に切り替わり、まるで渓谷の木陰から抜け出して、日差しに照らされた河原へ出たような、そんな“はっ”とする転換が用意されているのです。

このダイナミックすぎない切り替えが、心地よい驚きをもたらしてくれて。静けさのなかにも明るさがある、というこの地の魅力を、まさに体感するようなデザインです。


情報設計の丁寧さと、日本的余白

構成自体はごくシンプル。
「見る」「知る」「歩く」といった短いラベルにまとめられたナビゲーションが、自然と目に入り、訪問者を迷わせません。

そして、ページごとの余白の使い方が非常に巧みです。
文字と文字の間、ビジュアルとキャプションの間に、しっかりと“間”がとられており、視線の流れがとても穏やか。これは、日本建築や和のレイアウト感覚に通じるものを感じました。


写真の選定と“間の美学”

使われている写真は、風景そのものの雄大さや壮麗さを直接伝えるというよりも、「そこに身を置いたら、どんな気持ちになるのか」をそっと伝えてくれるようなセレクトです。

霧が立ちこめる渓谷、水面に映る緑、岩肌に差す光。どれも絵画的でありながら過度な演出がなく、しっとりと心に染みてくるような写真ばかり。

この“語りすぎない美しさ”こそが、十津川村という場所の魅力そのものなのかもしれません。


フォントとテキストの抑制美

フォント選びにもセンスを感じます。
本文には、明朝体に近い和文フォントが使われ、落ち着いた印象を演出。見出しはすっきりとしたゴシック体で視認性を確保しながらも、全体にどこか品のある佇まいが貫かれています。

文字数も必要最低限に絞られており、「書かないことで伝える」静けさの美学が、全体の空気感を壊さずに保たれています。


まとめ:静寂と明るさが共存するデザイン

瀞のサイトは、派手な演出や言葉を排し、静かで上質な世界を描き出しています。
しかしそれは決して“地味”ではなく、むしろ深く印象に残る、芯のある静けさ。

暗い色調に包まれながらスクロールを進めると、ふと明るさが差し込むあの瞬間――。
それはまるで、山道を抜けて水辺にたどり着いたときの、あの清々しさを疑似体験するような設計なのです。

画面の中にいながら、どこか遠くの自然の気配を感じるサイト。
慌ただしい日常の合間に、ぜひ一度この静かなページに触れてみてください。

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